前歯というのは普通上が外側に出て、下は内側になってかみ合うようになっています。これと反対になっている状態を「受け口」と言ったりします。反対咬合とも言います。①前歯だけが反対咬合で、主として上下の前歯の傾斜に原因がある物と、②下あごの骨格が大きすぎる為に上の歯列とずれてかみ合わない物とがあります。②の骨格に起因するものを特に「下顎前突」と言います。この2種類の内、治療が優しいのは①の方だと言えます。普通、犬歯のすぐ後ろの第一小臼歯を、上下左右で4本抜きの歯、八重歯の場合と同様です。上下の歯列をそれぞれ細いワイヤに結び、歯をごくゆっくりと移動させていき、正しいかみ合わせが出来るようにしていきます。下あごが大きすぎる②の場合には、下あごに力をくわえて少しずつ後退させたのち①の治療を行うという流れになります。ただ、下あごが上あごと比較してあまりに大きいという場合には、患者さんのあごの成長が終わるのを待って、顎の骨を切り後退させる手術をします。身長の伸びが止まった頃に顎の成長も止まりますので、身長の記録も採ります。一方で、毎年側面の頭部X線企画写真を撮り、身長のデータと比較すれば、いつ手術すればよいのかが分かるのです。正確な診断による予測デザインに基づいて、術前矯正をしておき、手術後にもう一度術後矯正を行います。